時々刻々作業療法しましょう

時々刻々 作業療法しましょう

現場で使えるをもっとうに、作業療法士の引き出しを、時々書いています

高齢者における排便障害

高齢者の排便障害というと、一般的には、便秘や下痢、便失禁などの症状が連想される。これら症状は、生活障害として認識されて初めて問題となり、羞恥心などプライバシーの問題も影響し、「外に出掛ける事が出来ない」といった社会的障害を引き起こす。また…

おむつのメリット デメリット(使用前に考えてほしい事)

高齢者のリハビリでは、紙オムツを使用している方に関わる機会が多い。特に多いのが夜間だけオムツを履いている場合ではないだろうか。私見ではあるが、オムツを使用している利用者の多くは、オムツをパンツの代替え品と考えていないだろうか。 オムツを使用…

高齢者に対する失禁予防の体操

高齢者に多い失禁の代表格が、機能性尿失禁や下部尿路障害に代表される腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁であろう。このうち、腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁に対する骨盤底筋群のリハは、症状の改善に有効であるとの報告が多い。 尿失禁とは 意志に反して尿が漏れる…

訪問リハビリテーション わかりやすい血液データー ②(腎機能)

前回の血液データー①では血液一般検査(末梢血検査)、血液生化学検査(肝機能、代謝)についてまとめた。今回は、腎機能の血液データーに関してまとめてみた。 腎機能の数値を見るポイント クレアチニン(Cr) eGFR(推算糸球体ろ過量) BUN(血中尿素窒…

第2回 正常な排尿動作 トイレの認知をどうとらえるか?

排尿障害を考える物差しは「正常な排尿」であろう。第2回目の今回は、トイレや便器の認識に関してまとめてみよう。 正常な排尿動作の9つの段階 1)正常な尿意 2)トイレ・便器の認識 3)移動 4)脱衣 5)便座への乗り移り 6)排泄 7)後始末 8)着…

リハビリ専門家の呼び方 正解は先生?それともさん?

一般的に先生と言ったら、医師か学校教諭を指す事が多い。医療業界では医師以外先生と言う表現は適切では無いと思うが、我々リハビリ専門職は、その特性上、先生と言われる事が多い。今回の記事は、リハビリ専門職の先生という立場に関する話。 リハビリ専門…

第1回 正常な排尿動作 正常な尿意をどうとらえるか?

「最近尿が近い」 「尿漏れをする様になった」 高齢になれば、これら症状は「誰でも起こるものだからしょうがない」と考える高齢者は少ない。事実、個人差はあるものの加齢に伴って、膀胱が過敏になる、尿道を絞める括約筋や骨盤底筋群が緩む、前立腺が肥大…

排尿障害 下部尿路機能障害のリハビリテーション

下部尿路機能障害というと聞き慣れない方も多いかもしれない。簡単に言うと、下部尿路である膀胱と尿道の機能障害を指す。2002年日本排尿機能学会の調査では、60歳以上の男女78%が下部尿路症状を有すると報告している。この下部尿路の機能は「蓄尿」と「排…

訪問リハビリ 利用者からの袖の下

訪問リハビリでは、関わりが長期化する方も多く、長く関わっている方々から、頂きものをする機会が病院なんかよりほんと良くあります。 故に、所謂 「お心付け」や「袖の下」など金品や地域性もありますが、お野菜や旅行のお土産、お茶やコーヒーなど頂くも…

腎臓が悪くなると起こりやすい症状

慢性腎臓病は、無症状のうちに進行し、心筋梗塞などの心血管障害の合併の頻度が高く、廃用症候群やフレイルを来しやすい疾患である。一度失われると、回復する事が難しく、慢性腎不全まで進行し、透析や腎移植を必要とする。 腎機能低下は徐々に起こり、無症…

慢性腎臓病(CKD )のリハビリテーション

訪問リハで遭遇する機会が多いのが、慢性腎臓病((Chronic Kidney Disease; CKD))など腎機能障害ではないだろうか?慢性腎臓病は、無症状のうちに進行し、心筋梗塞などの心血管障害の合併の頻度が高く、廃用症候群やフレイルを来しやすい疾患である。一度失…

訪問リハビリテーション わかりやすい血液データー ①基礎

ご自宅で、利用者さんやそのご家族から、検査データに関して質問を受けた事は無いだろうか。僕はしっかり答えられず不甲斐ない思いを何度か経験した事がある。そもそも血液データーとはどの様な種類があって、数値の解釈にはどんなものがあるか❓ 今回は、血…

訪問リハビリテーション 前庭機能障害に対するリハビリテーション

今回は前庭機能障害のリハビリテーションに関してまとめてみた。平衡感覚は、主に内耳前庭系と言われる様に、内耳や前庭神経の働きが重要である。 前庭機能障害に対するリハビリテーションの対象は、主に前庭神経炎、聴神経腫瘍摘出後、加齢変化に伴う前庭機…

訪問リハ 最低限必要な持ち物は❓

最近の記事は、リスク管理や疾患など内容に少し偏りがありましたので、ここで少し箸休め。 皆さんは他の療法士さんが訪問バックに何を入れているか気になりませんか?僕は、すごく気になります。在宅では、必要最低限の物で訪問している療法士の方もいれば、…

高齢者のめまい(治療編)

前回の記事では、眩暈の原因にfocusをあて、危険な眩暈との違いや、眩暈の症状など述べた。今回は、眩暈の治療編として、回転性眩暈に代表される「良性頭位発作性眩暈症(BPPV)」の評価や治療に関してまとめてみた。 良性頭位発作性眩暈症 特定の頭位をとる…

高齢者のめまい (リスク管理編)

高齢者と関わっていると,眩暈(めまい)を訴えている方の多さに驚かされる事がある。 眩暈(めまい)とは 「目がまわること、目がくらみ、倒れそうになること」とあり、様々な原因によって起こる上記の様な症状の総称であると言える。また、高齢者の眩暈の約…

訪問リハビリテーション リスク管理(心不全)

前回は、糖尿病のリスク管理をまとめてみた。第2回目の今回は、訪問リハビリでの心不全のリスク管理と題して、訪問リハビリでの心不全を抱える方と関わる上での注意点などまとめてみた。 第2回 訪問リハビリのリスク管理(心不全編) そもそも心不全とは 体…

必見 訪問リハビリ 正しい血圧測定方法と解釈

在宅で測定する機会が多い血圧測定だが、正しい方法で測定しないと妥当性のある測定結果が得られない事も多く、条件によって数値の解釈が難しい場合がある。また、訪問リハビリで測定した結果と自宅で記録している結果との乖離など、訪問では良く観察される…

在宅でみる 栄養状態の6つのポイント

在宅で担当している方の栄養状態を確認したい場合、食事たべれていますか?と聞いたところで大概は「食べれています」と言われるのが落ちである。 訪問リハビリでは、観察や情報収集から栄養状態を測る技が必要になる。 そこで今回は、在宅で栄養状態の把握…

訪問リハビリテーション リスク管理 糖尿病編

訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)では、訪問看護ステーションでの訪問リハと違い、看護師が配置されていないため、特に注意したいのがリスク管理だと思う。僕の場合、高齢者と関わる機会が多いため、以下の点を注意しながら関わっている。 ①高齢者特…

スキー靴の着用  片麻痺編

前回は、スキーのリハビリについて記事を書いた。 経験的に、スキー靴で一番時間が掛かるのは履く動作ではないだろうか。それに比べ脱ぐ動作は比較的スムーズでできる方が多い。スキー靴を履く事が出来にくい要因として以下の要因が考えられる。 スキー靴が…

片麻痺のスキー獲得・再開までポイント

作業療法士の仕事は多岐に渡る為、「自分が体験した事が無い課題」に対して、どの様にプログラムを立案すべきか悩む事が多い。 今回は、片麻痺を呈した方のスキー獲得まで、僕がどのように考え、関わったかをSPDCAサイクル形式(surveyーPlan-Do-Check-Actio…

認定作業療法士になる前となってから

今日のテーマは「認定作業療法士」 作業療法士の中では「認定」と言ったら、「認定作業療法士」と言う位、認知されていると思います。しかしながら、その認知の割に、認定を取得している人の数があまり伸びていません。google検索で「認定作業療法士」と検索…

初めての訪問リハビリ 在宅患者訪問リハビリテーション管理指導料

訪問リハビリテーションを始めたばかりの方や、これから新たに事業所を立ち上げる予定の方が間違い易いのが、「訪問リハビリテーション=介護保険のサービス」と思い込む事ではないでしょうか。そこで今回は、医療保険で行く、在宅患者訪問リハビリテーショ…

片麻痺 調理で腕捲りが出来ない

片麻痺の主婦の方々の工夫にはいつも感心させられる事が多い。今回は調理にあたり腕捲りが出来ないと悩む方に、僕が作成した自助具についてご紹介したい。 作成した自助具はこれ 材料もビニール腕カバーなど100円ショップにあるものに紐と滑り止めを付けて作…

作業療法士の自動車運転 番外編

一般的な自動車運転評価と言うと以下のイメージだと思う。 運転の希望がある方に対して神経生理学検査の後、実車訓練に移るわけだが、実車教習は教習所を使用して行う為、別途料金がかかる。殆どの場合、数回程で確認できる事が多いが、状況によっては躊躇さ…

片麻痺の更衣動作 ファスナーの開閉

作業療法士の仕事で、関わる機会が多い更衣動作 片麻痺の方の更衣動作で特に難しいのがファスナーの開閉ではないだろうか。 ファスナーの開閉は片方の固定をしながら引き上げる動作が必要になるため両手動作を必要とする。 今回は、ファスナーの開閉に苦労し…