時々刻々作業療法しましょう

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現場で使えるをもっとうに、作業療法士の引き出しを、時々書いています

片麻痺の更衣動作 ファスナーの開閉

 

作業療法士の仕事で、関わる機会が多い更衣動作

片麻痺の方の更衣動作で特に難しいのがファスナーの開閉ではないだろうか。

ファスナーの開閉は片方の固定をしながら引き上げる動作が必要になるため両手動作を必要とする。

 今回は、ファスナーの開閉に苦労していた方に効果的だった方法を書いてみたい。(写真は了解を得て掲載した)

ファスナーの構造と名称

ファスナー開閉の動作分析(ざっくりと)

1)ファスナーのスライダーを下止に合わせる

2)下止とスライダーの合わさった穴に差し込む

3)下止を固定してスライダーを上げる

 

片麻痺の方が一番難しいのが下止の固定‼️

今回のケースは利き手がうまく動かせず、下止の固定とスライダーの上げる動作が同時に出来ずにいた。

 

僕が考えた対策のポイントは

①スライダーにつまみを付ける事で麻痺側の指の力が弱くても、引っかけられる様にする事

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②下止の固定をしっかりするため麻痺が無い方(非麻痺側)で行う

写真:麻痺が無い左手で、反対側の下止の固定

        麻痺がある右手がスライダー

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③非麻痺側で固定している下止を下げて、スライダーが一緒に下がらない様に、麻痺側の指に引っかける

 

 

今回は下止とスライダーを、合わせる事が出来る前提で説明したが、感覚としてはスライダーを麻痺側で下がらない様に固定して、下止を非麻痺側で引き下げる感じ。

今回のケースは、麻痺側の指の機能は弱いながらも、引っかかる事が出来る事と、肩の引き上げが可能であったため、上記の方法を採用した。

麻痺が重く全く動かない場合、どう固定するかがポイントとなる。

YouTube動画に片手でいくつか参考になるものがあるので添付した。

また、最近アンダーアーマーのマグネット式ファスナーが個人的に気になっている。

片麻痺の方の場合、一般的に麻痺側の手は曲がる方に反応しやすいため、伸びる方の力がより必要な下止の固定には不向きな場合が多い。利き手が使える方の場合は、片手で下止を上手く固定して出来たりするが、利き手の麻痺では中々困難な場合が多い。やり方や自助具作成などファスナーに困っている方がいたら、是非引き出しの一つとして試してほしい。