時々刻々作業療法しましょう

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高齢者のめまい (リスク管理編)

高齢者と関わっていると,眩暈(めまい)を訴えている方の多さに驚かされる事がある。

眩暈(めまい)とは

「目がまわること、目がくらみ、倒れそうになること」とあり、様々な原因によって起こる上記の様な症状の総称であると言える。また、高齢者の眩暈の約4割は、原因不明と言われている。その他、先行文献では、眩暈患者全体の2~3割が良性頭位発作性眩暈症(BPPV)であり、加齢により発生の頻度も高くなるとの報告もあり、同じ内耳で起こるメニエール病を含めると内耳に起因しておこる眩暈が多い事が予想される。眩暈は、対象者の認識の違いによって、よろめいた事を眩暈と表現したり、頭痛を眩暈というなど抽象的な表現が含まれている。その為臨床的には、眩暈なのか他の症状なのか判断するポイントを抑える必要がある。この記事では、眩暈の原因にfocusをあて、私見を交えながらポイントをまとめてみよう。

 

訪問リハビリでよく聞くめまいを擬音語で表現すると

  1. 「くるくる」回っている感じ
  2. 「ふわふわ」とした感じ
  3. 頭が重く、「ぐらぐら」する感じ
  4. 「ズーン」とする感じ

の様に表現される事が多い。

この「ふわふわ」「くるくる」「ぐらぐら」「ズーン」の主語は「頭」であろう。そして、擬音語の表現は、強弱や方向を表している事が多く、

〇頭がくるくるする➡回転型の眩暈?

〇頭がフワフワする➡上下方向の浮いた感じの眩暈か頭痛?

〇頭がズーンとする➡強めの締め付けられる眩暈か頭痛?

〇頭がぐらぐらする➡強めの横方向の断続的な眩暈か頭痛?

これらの表現から察するに、「くるくる」以外の表現は眩暈以外の可能性も否定出来ない。

また、眩暈を起こす身体部位をざっくり分けてみる

①耳(内耳)

②目

③頭・首

④脳

これらを踏まえ、高齢者に多い眩暈を下記に羅列した。

 

良性頭位発作性眩暈症(BPPV):内耳

メニエール病:内耳

貧血や高血圧よる眩暈:脳

頭痛からくる眩暈(頭・首・脳)

ストレスからくる眩暈(目、首)

眩暈は頻度的には内耳によって起こる事が多く、起因する部位により原因の様々である。臨床では、まず今起こっている眩暈が危険性があるものかを鑑別する必要性がある。結論から言うと、内耳以外の眩暈に関しては、何かしら注意してみる必要性がある。脳から起こる眩暈の多くは、眩暈以外に感覚や麻痺など神経症状も伴う可能性がある事から、医師による鑑別が必要になる。

良性頭位発作性眩暈症とメニエール病の鑑別

メニエール病            良性頭位発作性眩暈症

症状                            症状

①回転性めまい   ①頭位の変化に起因した眩暈

②聞こえづらさ         ②めまい以外の聴覚症状ない

耳鳴り

④耳の閉塞感

 持続時間      持続時間

30分~数時間                数秒~数分程度と短い

眼振          眼振

あり          あり(伴わない場合もある)

 

高齢者に多い眩暈の代表格は、恐らくこの2つが多い。鑑別のポイントは、どちらも内耳の障害で起こるが、難聴を伴う場合や、持続時間が長い場合などは、メニエール病を疑う。頭位の位置に起因している場合、良性頭位発作性眩暈症である場合が多い。しかしながら、高齢者の場合、元々難聴を持っている事も多い為、注意が必要である。

また、麻痺や感覚障害、血圧低下、低血糖など危険を伴う眩暈も存在する。発作前後の血圧測定や他症状の有無など確認した上で、脳梗塞再発や脳腫瘍などの可能性も否定できない事から、病院の医師の判断を仰ぐ事を必ず行う。

眩暈は、大きく回転性眩暈と非回転性眩暈に大別される。

リスクを伴う眩暈の多くは、非回転性眩暈と覚えておこう。

以下に冒頭で表現した眩暈を解説する

 

回転性眩暈(主に内耳が原因)

「くるくる」する眩暈(回転性眩暈ともいう)

回転性眩暈の代表格は、やはりメニエール病や良性頭位発作性眩暈症(BPPV)である。先ほども説明したが、メニエール病の特徴は、難聴や耳の閉塞感、耳鳴りを伴う事が多い。BPPVは眩暈以外の聴覚障害を伴わない特徴がある。回転性眩暈は、内耳の障害から起こる事が多いため、そのまま放置すると難聴を発症する可能性がある。また、前庭神経炎など耳から脳に繋がる神経の炎症では、急に強い回転性の眩暈が発生する。前庭神経炎の場合、数時間~数日続く事からメニエール病より持続が長い事が特徴である。

 

非回転性眩暈(脳やその他の要因が原因でリスクを伴う可能性あり)

ふわふわする眩暈(浮遊性眩暈ともいう)

立ちくらみに似たふわふわした眩暈症状を訴える場合、血圧測定が重要である。血圧関係の眩暈は、高血圧でも低血圧でも発生する。また、人によっては頭痛を「ふわふわと表現する事がある」事から、浮遊性眩暈は血圧や頭痛など「脳」からのサインである場合がある。その為、脳血管障害の可能性を考えて対応をする必要があると覚えておこう。発生は急に起こる場合が多く、神経障害や麻痺の有無など観察をする。その他、有名なものとして「起立性低血圧」などがある。立ち上がり直後で、目の前が暗くなるなど訴える場合は、起立性低血圧を疑う。貧血などでも、同様なフワフワした眩暈症状がでる事がある。貧血の場合は、全身倦怠感や動悸など不調も一緒に訴える事がある。

血圧測定の記事はこちらから

tokidokiot.hatenadiary.com

 

また、高齢者の場合、感覚障害を「ふわふわ」と表現したり、浮腫みがある足で立っていると「ふわふわ」と表現する場合もある。繰り返しになるが、非回転性眩暈の場合、注意深く観察する事が必要である。

 

「ぐらぐら」する眩暈

ぐらぐらと表現する事から、浮遊性眩暈ではないと思うかもしれない。しかし、回転を伴わない眩暈の表現であり、非回転性の眩暈に分類される。また、頭痛を「ぐらぐら」と表現する場合もある事を踏まえると、浮遊性眩暈の可能性も否定できない。眩暈発生時は、血圧の測定や他症状が無いかを注意する。また、自律神経の不調などでも、同様の症状を訴える場合がある。この表現も、全身状態を観察し関わる必要があるだろう。

 

ズーンとした眩暈

この表現の場合、眩暈より頭痛を疑う表現だろう。この場合、目、頸部から来る

 緊張型頭痛など疑う。緊張型頭痛は、頭痛全体の約半数を占める頭痛と言われており、重い圧迫された頭痛や、首や肩のコリなどが伴う事が多い。不自然な姿勢や目の疲労、精神的なストレスなど原因は様々である。姿勢や頭部・肩の緊張をほぐす事で軽減される事が多い。頭痛にはくも膜下出血などに伴って起こる「症候性頭痛」など可能性も考慮し、観察する事が必要である。

まとめ

繰り返しになるが、眩暈には、回転性眩暈と非回転性眩暈があり、リスクを伴う眩暈の多くは、非回転性眩暈に多い。また、高齢者の場合、眩暈と言う表現が曖昧な場合が多く、他症状が無いか注意深く観察する必要性がある。訪問リハで遭遇する眩暈の殆どは、内耳に起因して起こる眩暈が多い。頭部の位置や回転性の眩暈、難聴の有無など症状で大まかな予想が可能である。内耳に起因する眩暈は、適切な関わりで改善できる可能がある為、適切な指導を行う上でも、眩暈の特徴を把握する事は重要であろう。

参考文献

地域リハ 8(3):214-217.2013

http://imc.or.jp/archives/mamechishiki/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%81%BE%E3%82%81%E7%9F%A5%E8%AD%98-72