時々刻々作業療法しましょう

時々刻々 作業療法しましょう

現場で使えるをもっとうに、作業療法士の引き出しを、時々書いています

訪問リハビリテーション わかりやすい血液データー ①基礎

ご自宅で、利用者さんやそのご家族から、検査データに関して質問を受けた事は無いだろうか。僕はしっかり答えられず不甲斐ない思いを何度か経験した事がある。そもそも血液データーとはどの様な種類があって、数値の解釈にはどんなものがあるか❓

今回は、血液データーの基礎と題して、末梢血検査と生化学検査(主に肝機能、腎機能)など訪問リハで知っておきたい知識面をまとめてみた。

そもそも血液検査にはどの様なものがある❓

①血液一般検査(末梢血検査)

f:id:ctorusholly:20190212225400p:image

引用:術前検査の観察ポイント|看護roo![カンゴルー]

赤血球

血液細胞成分の殆どを占めており、酸素を全身に送り、不要な二酸化炭素を肺に運ぶ働きをしている。ヘモグロビン(たんぱく質)をつかいガス交換をしている。

   増加:多血症、睡眠時無呼吸症候群

   減少:貧血症状 出血

ヘマトクリット:血液中の赤血球比

   増加:多血症

   減少:貧血

白血球

感染の炎症反応や免疫に関係

好中球、リンパ球、好酸球、単球、好塩基球などの総称をいう。ウイルスや細菌などの異物が体内に入ってきた場合、自分の中に取り込んで消化分解する働きがある。

   増加感染症、肺炎、扁桃炎、血液疾患、

   減少:免疫低下 血液疾患、抗がん剤治療の副作用

血小板

止血機能

赤血球や白血球と同様に、骨髄の造血幹細胞で作られる。10日ほどのサイクルで、脾臓で壊される。血小板異常では白血病が有名である。異常時は骨髄の検査をする

   増加血栓ができやすい、脳血管疾患など注意

   減少:出血傾向 再生不良性貧血

 

②血液生化学検査(肝機能、腎機能、代謝

f:id:ctorusholly:20190212225407p:image

引用:術前検査の観察ポイント|看護roo![カンゴルー]


www.kango-roo.com

TP(総蛋白)

血漿中のたんぱく質血漿総蛋白(TP)の7割はALB(アルブミン)である。血漿たんぱくの殆どが肝臓で作られるため、肝臓機能蛋白合成能が低下すると減少。増加すると、血管内のアルブミンが増え、脱水が起こる

増加:脱水

減少:低栄養、肝臓の障害

ALB(アルブミン

肝臓で作られる水分保持や物質の運搬を担う蛋白質

アルブミン自体は血管内から出る事が出来ない大きい蛋白。血管内に留まる事で、水分保持に欠かせない浸透圧を作る。アルブミンが多いと血管内の水分量が増える。結果として組織が脱水。増加で組織内に水分が出過ぎるため、浮腫みをつくる。

増加:脱水

減少:肝臓蛋白質合成能低下、浮腫み、腎機能低下

 

血清ビリルビン(T-Bil)

黄疸など原因となる。血液中の赤血球が寿命になった時、それを基に造られる黄色い色素をビリルビンと言う。油ものの消化を助ける胆汁の主成分。増加は肝臓の機能低下を意味する。減少するとは、元々赤血球が壊れてできるものが、ビリルビンと考えるとわかりやすい。赤血球が壊れるため、貧血になる。

増加:肝臓の病気 ※この場合、後述するALT、ASTも高値を示す。

減少:貧血

 

AST(GOT) ALT(GPT)

主に肝細胞で作られる酵素で、肝細胞が破壊されると高値になる。ASTは肝細胞以外に、心筋や骨格筋、赤血球内などにも存在。ALTは主に肝臓内に存在している為、肝細胞の程度を反映している。肝機能障害の方は、ASTよりALTの方が高値な事が多い。健常な方は、ASTが高値な場合が多い。

増加:肝機能低下

減少:腎不全

 

CK(クレアチンキナーゼ)

本来は筋肉内にある酵素で、筋肉細胞が壊れた事を意味する。筋ジスなどで高値を示す。また、筋肉痛などでも上昇する。心筋梗塞などの診断にも使用される酵素。※心筋梗塞ではCK-MB(心筋型CK)が高値となる。

増加:心筋障害、筋・神経障害

 

Che(コリンエステラーゼ

肝細胞で生成される蛋白質の1つ。肝臓の蛋白合成能を反映する指標として使用される。

減少:肝臓での蛋白生成能低下や低栄養

 

BUN(血中尿素窒素)

蛋白質が分解されるとアンモニアが作られる。アンモニアは有害な為、肝臓で尿素に変えられ、最終的に腎臓を通して尿として排泄される。腎臓の機能が低下すると、尿素が濾過しきれずに尿素が血中に残ってしまう。つまり、BUNは尿素の量から腎臓の機能を見る事が出来る。

 増加:腎臓の機能低下、乏尿

減少尿素を生成する肝機能の低下、低蛋白状態

 

Na(ナトリウム)

水分調節や浸透圧など電解質と関係している。ナトリウムは心筋の心拍リズムや生存に関係する働きをしていおり、腎臓で余分なナトリウムを排泄している。

増加:口渇、頭痛、嘔吐、痙攣 脱水、利尿剤

減少:浮腫、腎不全、心不全 

 

K(カリウム

体に取り込まれたカリウムの内、殆どが細胞内にある。神経や筋肉の興奮、情報伝達などに必要不可欠な要素。カリウム高値は不整脈の原因ともいわれている。

増加心不全不整脈に注意が必要

減少:浮腫み、慢性腎不全

 

Mg(マグネシウム

Mgの約半数は骨に存在していると言われている。骨や歯の形成、神経・筋肉を正常に機能させる為に重要。口から摂取され、排泄によって減少する。

増加:低血圧、呼吸障害(重篤な場合があり注意)※高マグネシウム血症自体は稀

低下:低栄養、利尿剤、大量飲酒が原因など

 

CRP(C反応性蛋白)

細菌感染や体内の炎症などで高値を示す血液中の蛋白質の一種。

増加感染症、炎症

 

まとめ

以上簡単ではあるが、一般的な血液検査・生化学検査データーの解釈を訪問リハの視点を交えて述べた。訪問リハの事業所には、看護師配置が無い為、リスク管理面も抑えておきたいポイントの一つである。血液データーの数値を覚えるのも大切だが、なぜ、症状が起こり易いか知る事の方が役に立つが場合が多い。リスクを事前に予測する面でも基本となるのでしっかり覚えておこう。